​蝶にも食べられない

吐きそうなほど大量の思い出と、走馬灯に登場しないであろう日々が続いて、鏡に映っている自分の姿を、遠い国の知らない誰かと誤解して、コントローラーで操られながら、前に進んだり、退いたり、雨音にかき消されてゆく鼓動を、炭酸で潤して、濁った涙で、鍵盤すら叩けなくなった指が、冷凍催眠されていく。相対的な寂しさって、衣装のクオリティと、化粧の念入りさを助けてくれるけれど、血管全てを支配して、自分で自分を軽蔑して、私から、ふわふわした絶対的なものを全部はぎ取ってしまう、悪魔だね。笑ったり、愛したり、愛されたり、すり寄ってみたりしたいけれど、全てを叶えられるほど、素晴らしい目覚めには程遠いから、今ある幸せが、氷をたくさん入れたアルコールの一口目だと思って、溺れている。苦しゅうない。

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