「残り時間」
2019/10/12(sat)
今日は大きな台風が来るらしい。
家の前に、これは飛んで来るんじゃないかという疑いのある、
鉄の棒があるので怯えている。
今死んでしまったら、悔いが残るので、対策を行うことにした。
窓ガラスにガムテープを貼り、
窓ガラスのない玄関に、パソコンや機材や机を移動し、生活拠点を玄関に切り替えた。
狭い玄関で、本を読んだり、曲を作ったり、ギターの弦を変えたりしていたら、
友達から電話がかかって来て、
他愛のない話をしている間に、雨も風も弱まっていた。
生き物には、残り時間が存在している。
まだ死んだことがないから、
それを意識しないで生きている時間の方が長い。
刻々と失ってゆく、
残り時間の数字は、普段は黒い布で覆ってあって、
誰も覗くことができないけれど、
たまに、強い風が吹けば布がめくれて、
数字が見えたような錯覚に陥ったりすることもある。
でもその数字が、本物だったのか、偽物だったのか、
分かる頃には、深い眠りの中にいる。
まだやり残していることがたくさんあるなと思う。
気圧で頭がくらくらしているので、今日もぐっすり眠れそう。
おわり。
追記
残り時間はひとつじゃなく、
自分が好きな自分のままで居られる残り時間とか、
人生が変わるきっかけとなる誰かと出会うまでの残り時間とか、
大切な人との別れが訪れるまでの残り時間とか。
友達の恋愛話を聞いていると、
付き合うと死んでないのにつまらない理由で別れなくちゃいけないし、
いつか好きな人ができたら、友達のままでいた方がいいのではないかと、思ったりもする。
別れる恐怖や、自分が傷つく恐怖を吹き飛ばすような、
強い気持ちがあればいいね。
今度こそ眠る。
おわり。