三十段
夏の枯草、雨に濡れ、
竜の尻尾と我歌う。
憂とふて寝、読む風に、
君は旧年思いけり。
三十二段
人となり
剣振りかざして
水を飲む
風に憧れ
鳴らす風鈴
三十一段
土の身体、睡魔は深く根を生やし、栄養を吸っては、危き夢を上映している。
そっぽを向きながら。
三十三段
指導してよ。お菓子の味が分からなくなるくらい。壊れた指先の感覚だけ分かるの。
三十四段
煙が充満した、オレンジを食べた、君はやっと若くなった。
三十五段
太陽は私の心臓を食べた。鳥が吐き出した。つまみ食い、しなきゃよかったって。
三十六段
怒鳴る声、思い出す、蹴り飛ばす足、痛いのは身体じゃなかった、でもここにあるのは心じゃなかった。一体なんだったんだろう。
